グーグル社は、運営する動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿された被差別部落を撮影した動画約200本を削除した。同社広報部は削除の理由を「ヘイトスピーチに関するポリシー(指針)に違反した」としている。
動画の投稿者は、2016年に被差別部落の地名リストをネットに公開し、部落解放同盟と同盟員らに削除などを求めて提訴された出版社代表の男性。18年ごろから全国の被差別部落を撮影し、地名や住宅、墓石、地図などをさらす動画の投稿を繰り返していた。
グーグル社によると、ユーチューブのヘイトスピーチに関するポリシーには、社会的階層といった特性に基づいて個人や集団に対する差別を助長するコンテンツを禁止することが明記されているという。
被差別部落出身者や支援者でつくる啓発団体「ABDARC(アブダーク)」は11月13日から動画の削除を求めるオンライン署名活動を始めた。グーグル社が動画を削除した同30日までに、2万8千筆を超す署名が集まっていた。署名は、ユーチューブの投稿の禁止規定に「被差別部落の所在地暴露(識別情報の摘示)」を明記することなども求めている。
署名活動の発起人で部落解放・人権研究所(大阪市)の谷川雅彦代表理事は、「署名開始から2週間ほどで大きな扉が開いた」と話す。これまでも総務省などがグーグル社に動画の削除を要請してきたが具体策は講じられなかったという。今後は模倣者による類似動画の削除が課題となる。谷川氏は「ユーチューブに投稿する際の禁止規定が変更されることを期待したい」と話している。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル